この日セルデンの天候は、まるで彼には勝たせたくないかのように意地悪だった。しかし、レースが終わってみれば、HEADワールドカップレベルズであるテッド・リゲティが2位に2秒75という過去30年間でもっとも大きいタイム差で優勝した。1本目のレースは深い霧の中で始まったが、その後視界は急激に良くなり、遅いスタート順の選手たちが、次々と好タイムを記録した。1本目が終わった時点でリゲティは、わずか100分の4秒差ながら4位にとどまっていた。しかし、2本目ですべてが変わってしまった。リゲティは、新しい雪が積もった軟らかい雪を新しいレギュレーションのスキーで滑るにはどうすればいいのかという難題に、これ以上はない素晴らしい解答を示したのだ。
『うまく滑っている時ほどコースアウトしがちなのだが、今日はそうならないですんだ』 とレース後のリゲティは語った。2本目でゲートをひっかけて転倒したアクセル・ルンド・スビンダルは、同じHEADワールドカップレベルズのリゲティの勝利を喜び、とりわけ最悪の条件の中で好タイムを記録した1本目の滑りを讃えた。『彼が夏の間、どれだけジムでハードなトレーニングを積んだかが、あの滑りからわかる』
『後半の緩斜面では、このコースにおける過去のどのレースよりもきつかった。新しいスキーで速く滑るには、これまで以上に強い体力が必要だ』 とリゲティは語る。
『自分の滑りに、自分でもびっくりしている。限界までリスクを冒したし、コースはガタガタに荒れていたので、失敗せずにゴールできたのは幸運だった』
ゴーティエ・デ・テジエは27番スタートから7位に躍進した。『とてもタフなレースだった。コースとの激しい戦いで、こういうレースでは自分を信じる力が大切だ。7位という結果にはとても満足している。テッドのように滑るには、まだ長い道のりが必要だろう。新しいスキーで、もっともっと練習しなければならない。われわれHEADチームは良いスキーを作り上げて来たので、うまくいくだろう』 とデ・テジエは語った。
もうひとりの15位内入賞者はマルセル・マティス。今季から父親がサービスマンとして彼のサポートをしてくれることになった。そして父が準備してくれたスキーをはく最初のレースで12位となった。
すべてのレーサーにとってハードなコンディションのレースだった。しかし、そのなかで(新しいスキーによるGSが)めざすべき理想的なパフォーマンスをリゲティが示したといってよいだろう。
1. Ted Ligety (USA) HEAD
2. Manfred Moelgg (ITA)
3. Marcel Hirscher (AUT)
7. Gauthier de Tessieres (FRA) HEAD
12. Marcel Mathis (AUT) HEAD
15. Kjetil Jansrud (NOR) HEAD
22. Dustin Cook (CAN) HEAD