マリア・リーシュはフラッハウの夜間回転で表彰台の一番上に立った。今季W杯回転では4度2位を獲得しているが、このドイツの花形選手は1本目の3位から華々しく挽回してW杯実績にひとつ優勝を加えた。マルリース・シルトを見に詰めかけた1万5千の観衆を前に、リーシュはターニャ・プティアイネンと同着首位となり、3位にはナスターシャ・ノーエンが入った。
「今季やっと回転で優勝できて、すごく嬉しい。4度2位になってはいたけれど優勝は格別。ターニャと優勝を分け合ったことはまったく問題じゃない。」1本目のあと自分の滑りに納得できず首を横に振ったが、彼女らしい闘志をみなぎらせて2本目に挑んだ。リンゼイ・ボンは1本目で転倒し棄権したため、リーシュは4度の2位を上回るように滑ればチャンスはまだあると信じていた。現地入りしたリーシュは、「私はフラッハウが大好き。雰囲気がとてもいい」と語っていた。この気持ちを忘れず彼女は力を発揮した。
昨年よりもスタートの傾斜が急峻になり、人工的な起伏が作られてコースは若干難しくなっており、一本目では数人がトラブルに見舞われた。トップ30人が挑んだ2本目では残り3人を残した時点でキャスリン・ゼッテルが首位だった。リーシュのパワーと較べるとゼッテルのタイムは劣り、リーシュは勝ちに出た。終盤リーシュがリードし、首位選手が待機する囲いの中でノーエンがタイムを上げるか見守ったが、成らなかった。次に1本目1位のプティアイネンが来た。彼女は序盤でリードを広げたもののフィニッシュ近くの緩斜面で失速しリーシュと同着となった。アデルボーデンではスビンダルとリシャールが優勝を分け合ったのに続き、女子も観衆を沸かせることができるのを証明した。
今季回転で4勝をあげているシルトは、2本目でクラッシュアウトして、リーシュに優勝を明け渡した。リーシュは総合で200点近くリードを伸ばしている。リーシュにとっては通算17回目の優勝。回転では7回目の優勝だが、総合優勝、回転の種目別優勝に向けて一歩大きく前進した。
リーシュが優勝に酔いしれる一方で、「フィニッシュ時の最も幸せな選手」賞はアンヌソフィー・バルテに与えられた。彼女は9位。自己セカンドベストの好成績を出し、フィニッシュ後に観衆に踊りを披露した。アンナ・グッドマンは14位で、初めて15位入りを果たした。