シーズン初めに、HEADスピードホリックスのボスであるライナー・ザルツゲーバーは彼の選手らが昨シーズンに匹敵する活躍をしてくれることを期待した。結果が全てを物語る。ワールドカップの長いシーズンがようやく終わり、HEADレーサーらは7つのグローブを獲得、これは他のスキーブランドよりも多い。またガルミッシュでの世界選手権でも他ブランドよりも多くの金メダルを獲得、これを表す言葉はただ一つ。『成功』。
今シーズン、HEADレーサーの表彰台は10種目中9種目。これもFISワールドカップ・ブランドランキングでダントツである。HEADレーシングチームは今シーズン66の表彰台を獲得、そのうち22がセンターの位置。リンゼイ・ボンの8勝を筆頭に、マリア・リーシュ、アニャ・パーソン、テッド・リゲティ、アクセル・ルンド・スビンダル、ディディエ・キュシュらが続く。また彼らと共に、リッツ・ゲルグル、チェーティル・ヤンスルード、ステファン・ケプラー、ボディ・ミラーそしてアニャ・フェニンガーらも表彰台に上がった。
マリア・リーシュは最終的に総合優勝を掴んだ。過去2年間はリンゼイ・ボンに次ぐ2位であったが、ようやく誰もが夢見る総合優勝に輝いた。ジャイアントスラロームを除く4種目で6勝をあげ、まさに彼女にとってファンタスティックなシーズンとなった。シーズンは長く、そしてハードなものだった。天候不良のため5レースがキャンセルとなった。リーシュはポイントを稼げる時に重ねてきた。シーズン終盤になり、説明のつかない自信の低下がリンゼイ・ボンに総合での逆転を許したが、最後のスラロームで4位に入りギリギリで彼女を再浮上させた。北アメリカでの早い段階での勝利がリーシュの成功へのジャンプ台となった。その後順調にポイントを重ね、総合優勝の下地を作った。シーズン終りにプレッシャーがかかってきても、リーシュは最後のスラロームで落ち着いてボンへの十分なリードを奪った。そして天候も彼女に味方した。ガルミッシュでは、熱を出さなければさらに素晴しいシーズンになったに違いない。グローブと2つのブロンズメダルはごくわずかな選手しか成し遂げられないものだ。
リンゼイ・ボンにとって、シーズン終盤は200ポイント以上の差でマリア・リーシュを追うという展開だった。全ては決まっているように思われたが、このファイターを侮ることはできない。ボンは総合のグローブを諦めてはいなかった。オーレ、タルビシオでボンは勝利を重ねた。リンゼイはファイナルへ向け絶好調だった。彼女は2、3レースで混戦になる状況に持っていった。『最もエキサイティングなワールドカップ総合争いの中にいると感じた。ファンにとって残念な結果となった。』 と天候不良でレースがキャンセルになった後ボンは語った。ボンはすでに、シーズンオフにハードトレーニングを積み来シーズン戻ってくると誓った。怪我に常に悩まされ、世界選手権直前の頭部の怪我にもかかわらず、ダウンヒルの銀メダルに加え、スーパーG、そしてスーパーコンバインドの3つのグローブ獲得に『喜び』を与えた。
リッツ・ゲルグルにとってワールドカップはプラン通りとはいかなかったようだが、世界選手権でゴールドメダル2個を獲得。これは彼女にとって素晴しいシーズンになった。リッツが主題曲を歌い、世界選手権が開幕。そして24時間後彼女はスーパーGの世界チャンピオンとして表彰台に戻ってきた。日曜日までにリンゼイ・ボン、マリア・リーシュという本命に立ち向かい再びダウンヒルでも勝利を収め、ダブルチャンビオンとして再度戻ってきた。ワールドカップで6度の表彰台で総合タイトル争いに加わり、最終的に彼女を総合4位に導いた。バルディゼールでのスーパー・コンバインドでの2位が今シーズンの彼女のハイライト。
アニャ・フェニンガーは世界選手権スーパーコンバインドで約束を果たすこととなった。フェニンガーはダウンヒルを終え4位につけた。そしてフィニッシュエリアを歩く彼女の目には決意が見えた。スラロームレースは町の反対側だった。そしてフェニンガーはミッションを遂行した。この日は彼女の日だった。ジュニア時代の誓いがシニアの世界選手権で叶った。ダウンヒルとスーパーGで2度の表彰台がワールドカップでの彼女の結果だが、ガルミッシュでのスーパーコンバインド優勝が今シーズン彼女のハイライトとなった。
アニャ・パーソンはシーズン初めに、今はスキーを楽しんでいると話した。彼女は引退を考えていたが、彼女はまだ諦める気持ちの整理がつかないほどスキーレーシングを愛していた。彼女はまだやりたいことがあった。そしてそれは勝利であり、メダルであった。ガルミッシュでアニャは、世界選手権、オリンピックを通じて17個目のメダルをスーパーコンバインドで勝ち取った。オーレで膝を怪我した直後のタルビシオでのダウンヒルで勝利。これは42度目のワールドカップ勝利であり、HEADレーサー仲間のリンゼイ・ボンを破ってのものだった!アニャはまだここにいる。そしてレースでの勝利を望んでいる!
今シーズン2つのグローブを獲得したディディエ・キュシュはキャリア続行を決めた。すでにワールドカップ最年長勝利の男であるキュシュはまだレースを楽しんでいるし、更なる勝利を望んでいる。キュシュのキッツビューエルでの勝利は近年最も忘れ難く、魅力的なものの1つだ。彼の滑りはキッツビューエルのレジェンド、フランツ・クランマーやステファン・エベルハルターと同じような熱狂振りだった。ディディエは今4つのダウンヒルグローブ保持者となり、これはフランツ・クランマーにあと1つと迫る2位につけている。
テッド・リゲティはジャイアント・スラロームのディフェンディング・チャンピオンとしてレッドビブスを着てシーズンをスタートさせた。テッドは最後までレッドビブスを守った。ソルデンでのレースは2本目をスタートする気満々であったが、霧のためキャンセルとなり、テッドは羽目を外した。馬鹿騒ぎのワールドカップ・ジャイアントスラロームレースの開催! 地元ビーバークリークが最初の勝利となった。そして場所をヴァルディゼールに移し圧勝で2勝目、そしてアルタバディアのジャイアント・スラロームコースでも勝利。テッドはジャイアントスラロームで絶好調だった。来年の目標はスーパーGでもっとポイント稼ぐことと総合を狙うためににスラロームで再びトップに返り咲くことである。この男はミッションを遂行する!
アクセル・ルンド・スビンダルは彼の世代で最も優れたオールラウンダーの1人である。誰もレースで彼を無視できない。ガルミッシュの世界選手権でタイトルを守った唯一の選手である。アクセルはダウンヒルセクションで他をリードし、スラロームセクションでは彼の技術を見せつけた。真のオールラウンド・チャンピオンだ!アクセルもアデルボーデンでのジャイアントスラロームでワールドカップの勝利を挙げている。アクセルは来季を見据えてスキーテストにシーズンの大半の時間を使った。『ダウンヒルでスキーをテストする時間が十分に無かったので、トレーニングランでそれを行った。』 とシャモニーでアクセルは話した。
そしてチェーティル・ヤンスルード(ジャイアントスラローム)やステファン・ケプラー(ヴァルディゼールでのスーパーG)というヤングレーサーらが本当の魔法を見せる瞬間もあった。もちろん、シーズンを振り返ったときボディ・ミラーを外してはならない。ボディは偉大なレーサーだ。彼はまだ勝利に対する情熱を持っていて、それをキッツビューエルで見せた。他でも彼は素晴しい滑りを見せたが、彼をトップの位置から引きずりおろすのはキュシュのマジカルな滑りだった。ガルミッシュで彼は解説者を大いに悩ませた。ダウンヒルでたくさんのミスを犯してしまいノーチャンスと思っていたが、長い間トップをキープしたのだ。ハンス・オルソン、ヴェルナー・ヒール、そしてヨハン・クラレイは今シーズンワールドカップトップ10入りを目標にスタートし、レンツェルハイドでオルソンが6位に入った。
年間を通してのごく一部を語ったに過ぎない。成功は成功の糧である。そしてHEADの全てのアスリートがもっと良くなろうと、もっと早くなるためのスキー、ブーツを得ようと共に働いた。このアスリートらのスキー、ブーツにおける共同作業のコンビネーションの成果を見てみよう。商品に現れてくるはずだ。アクセル・ルンド・スビンダルは定期的に絶えずテストをする必要性について話していた。そしてダウンヒルのトレーニングランで常にテストを繰り返していた。テッド・リゲティとチェーティル・ヤンスルードも速さを求めてテストを実施していた。ワールドカップレースの勝利よりもスキー、ブーツをテストし完璧に仕上げるのは誰だろう?
今、ワールドカップは終わり、来季へと向かっていく。2010-2011のHEADの栄光は以下の通り。
FISアルペン世界選手権 - HEADメダリスト
金:
・リッツ・ゲルグル (女子ダウンヒル、スーパーG)
・アニャ・フェニンガー (女子スーパー・コンバインド)
・テッド・リゲティ (男子ジャイアントスラローム)
・アクセル・ルンド・スビンダル (男子スーパーコンバインド)
銀:
・リンゼイ・ボン (女子ダウンヒル)
・ディディエ・キュシュ (男子ダウンヒル)
銅:
・マリア・リーシュ (女子ダウンヒル、スーパーG)
・アニャ・パーソン (女子スーパーコンバインド)
FISアルペンワールドカップ・グローブ・ウィナーズ
女子:
・総合: マリア・リーシュ (ドイツ) HEAD
・ダウンヒル:リンゼイ・ボン (アメリカ) HEAD
・スーパーG:リンゼイ・ボン (アメリカ) HEAD
・スーパーコンバインド:リンゼイ・ボン (アメリカ) HEAD
男子:
・ダウンヒル: ディディエ・キュシュ (スイス) HEAD
・スーパーG: ディディエ・キュシュ (スイス) HEAD
・ジャイアントスラローム:テッド・リゲティ (アメリカ) HEAD
HEAD - FISアルペンワールドカップで12個中7個のグローブを獲得、22勝
HEAD - ワールドカップ2010-11でナンバー1ブランド