ボディ・ミラー攻撃的な滑りでビーバークリークのDHを制す
ビーバークリーク(アメリカ・コロラド州)で行なわれた男子ダウンヒル第2戦は、ボディ・ミラーが鮮やかな滑りで優勝。通算33回目の勝利をつかんだ。『スタートからフィニッシュまで、信じられないほど素晴らしい滑りだった』とUSチームのヘッドコーチが感嘆するほどの完璧な勝利。彼にとっては、2009/10シーズンのウェンゲン(種目はスーパー・コンバインド)以来、ダウンヒルに限って言えば、2007/08シーズンのクヴィットフェル以来の勝利である。
この日のビブナンバーは12番。彼としては珍しく早いスタート順に、レース前の彼は少し緊張していたようである。地元アメリカでの大会、彼の勝利を期待する大きな注目を浴びてのレースとあって、いつもは自然体の彼もナーバスにならざるをえなかった。しかし、ミラーは攻撃的なラインでアタックすることで、そのプレッシャーをはねのけた。過去に何度となく滑り、ワールドカップでも2度の優勝経験を持つ難コース“Birds of Prey”。この日の彼はこれまでに挑んだことがないほどのタイトなラインを攻めきってゴールに飛び込んだ。タイムは1分43秒82。それまでトップに立っていたフランスのヨハン・クラリーを0秒78上回った。
しかし、この時点はまだ優勝が決まったわけではない。レイクルイーズのDH優勝者ディディエ・キュシュ、ビーバークリークで過去3度の優勝経験を持つアクセル・ルンド・スビンダルら、多くの優勝候補がこれから滑り降りてくる。
『自分ができることは、すべてやりきった。はたして今日の滑りが勝利に値するか、それはもう自分で決めることではない。後はライバルたちの滑りを待つだけだった。』
次々とゴールするライバルたち。しかしミラーのタイムは誰にも破られない。昨シーズンから急成長のビート・フエッツ(スイス)、オーストリアのエース、クラウス・クレルがすばらしいパフォーマンスをみせたが、2,3位に滑りこむのがやっと。結局ミラーのリードは最後まで揺らぐことはなかった。クラリーは4位、スビンダルは5位に入り、このレースもHEADチームが上位に多数の選手を送り込んだ。
『今日のような滑りをしたかったんだ!』とレース後のミラーは喜びを爆発させた。
『ゴールに入ったとき、100%の満足感があった。最大の勝因は、勇気をもってアタックしたこと。このコースでは、少しでも弱気になるとあっというまにタイムを失ってしまう。今日の自分は、すべての瞬間でぎりぎりまでリスクを冒した。弱気なターンはひとつもなかった。スタートからゴールまで自分の足が激しく燃えているのを感じたよ。』
USチームのヘッドコーチ、サーシャ・ライリックは、ミラーの勝利を祝福するとともに、サービスマンについてこう讃えた。
『Tschunti(ボディ・ミラーのサービスマン)は素晴らしい仕事をしてくれた。とくにスタート直後の長い緩斜面でのミラーのスピードは、他を圧倒していたが、それはTschuntiが最高のスキーに仕上げたからに他ならない。彼は選手とともに多くの勝利を経験しているサービスマンだが、ダウンヒルではまだ勝ったことがなかった。彼とヘッドチームの完璧な仕事に感謝すると同時に彼にとってのダウンヒル初優勝におめでとうと言いたい。』
Result:
1. Bode Miller (USA) HEAD
2. Beat Feuz (SUI)
3. Klaus Kroell (AUT)
4. Johan Clarey (FRA) HEAD
5. Aksel Lund Svindal (NOR) HEAD
9. Didier Cuche (SUI) HEAD
11. Guillermo Fayed (FRA) HEAD
21. Hans Olsson (SWE) HEAD
22. Ted Ligety (USA) HEAD
25. Tobias Stechert (GER) HEAD
26. Kjetil Jansrud (NOR) HEAD